【短編】真夜中のサンキャッチャー
翌日、月曜日。私はいつも通りに出勤した。挨拶をしながら隣の島を見る。小井川さんはまだみたいだった。あのシトラスの匂いがしないから。


うちの課は、懇親会や二次会の話で持ちきり。木嶋さんも二次会来れば良かったのに、次は必ずね!、と誘われた。社交辞令の類。私も行く気はないのに、うん、と返事をする。社交辞令。


そのとき、あの、シトラスの匂いがふんわりと漂ってきた……。

振り返ろうか、悩む。


あ……。



「小井川さん! おはようございまーす! 二次会楽しかったですね」
「おはよう。うん、場違いじゃなかったかな。俺、こっちの島だし」
「そんなこと。愛に国境はありません!」
「ええー、愛??」


他の女の子に先を越された。ちらりと小井川さんを見るけど、会釈した私にも気付かないみたいだった。


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