カクテル・キス
何も考えられない。
ただ近づいてくるのが見える唇を、
瞳を、髪の毛を、
瞬きできずにとらえる。
ふわっと息が
鼻にかかってくすぐったい。
あ、触れる。
そう思ったとき、
ぱっと変わった視界と
はっとした顔の先輩。
「あああ愛華ちゃん!!」
「は、はいっ!!」
名前を呼ばれて咄嗟に返事をする。
「よ、避けろよー!!」
背中にまわされていた手が離れ、
そのままその手で顔を覆う先輩。
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