あたしの体質
此処は大通りから少しそれた小路地は薄暗く今は妖の溜まり場になっている。そんな場所に身を潜めるように少女”林 凜樺ーハヤシ リンカー”が物置に隠れていた。
「 ...ハァ...ハァ.. (ここまでくれば...あの妖も追ってこないよね...?)」
凜樺は生まれつき妖に好かれている....正確には強い霊気に反応してやってくるのだ。
いつもであれば凜樺が産まれた時亡くなってしまった母 ”林 亜夜樺ーハヤシ アヤカー”の形見である御守りが何故か妖から守ってくれていた。しかし 今朝慌てて家を出て行ってしまったためかその御守りをうっかり家に置いてきてしまっていたのだ。
『ドコダ...ドコイッタ.......』
「....っ!!..」
妖が体を引きずるような音を立てながらがだんだん凜樺がいる方へ近付いてくる。
ー....ズズズ...ズズ......ー
「......(お願い....来ないでっ........)」
音は徐々に大きくなり遂には物置の前で止まった。
『...ドコダ....ドコ..』
ー ....ズズズ...ズズ...... ー
再び音は動き出し小さくなっていった。
「....た...すかっ....た..?…」
凜樺はほっとし外へ出た........がそれがいけなかったのだろう....
『....ミーツケタ.......』
「....えっ?」
行ってしまったはずの妖の声が上から聞こえ 思わず見上げると 口を大きく開きニタニタ笑う妖がそこにあった。
『ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ ミツケタ....』
「....ひっ!..」
カタチをとどめられていないその妖は凜樺目掛けて落ちてきた。
とっさにその場から離れようとするも恐怖のあまり足がもつれ 転んでしまった。それを妖が見過ごすことなく体を使い凜樺を押さえつける。
「...グッ....(殺される...っ!..)」
必死に手足をばたつかせるが妖を退かせず押さえつける力を強くしただけであった。
「(いやだ....死に...た..くな..い...っ!..)....いやっ...」
尚も抵抗を試みるが 指先が動かせるだけであった。
最後の抵抗のように目をぎゅっと閉じ これからくる痛みを受け止めようとした....がいくら待っても想像していた痛みが来ることはなく それに不思議に思い閉じていた目を開くとこの世のものとは思えないような美青年が凜華を襲っていた妖を蹴り飛ばしていた。
青年は凜華に乗っていた妖が奇声をあげながら消滅していくのを見届け 切ない顔で凜華を一瞥し 「アヤカ...」とまるで吐き出すように 呟いた。しかし次の瞬間には感情の読めない顔になっていた。
「...あの....助けてくれてありがとうございました....」
「...これに懲りたらお守りを肌見放さないことだな」
「!? なんで知って..っ....」
桃色の瞳とかち合ったとたん湧き上がった疑問をぶつけることが叶わず 口を開閉するだけに終わった。
青年はただ凜華を見つめるだけであったため沈黙が続いた。しかしそんなこともお構いなしっといった感じで第三者の....男の声がぶった斬った。
「あー!!あっくんやっと見つけたっ!僕を置いていくなんてひどいしー!!」
「....悪かった....」
「まぁいいや....さしずめあの子助けたんでしょ?」
クリクリっとした目が特徴的な男の人は確信満ちた声色で青年(あっくんってあだ名?)
に問いかけていた。突然の第三者の登場に頭がついていけずほぼ傍観者となっていた凜華と目が合うと凜華にてを差し伸べてきた。
「こんにちは!僕は泉那!君は 工藤 亜夜樺-クドウ アヤカ-の娘さんだし?」
「....どうして母の名前を...」
それに工藤は旧姓で私以外知ってる人はいない筈なのに....
「....たくさん疑問がありそうだけど此処だとまた襲われる可能性があるし〜....そうだ!ウチくる?」
「えっ!?いやあの....」
「少なくともあっくんは知り合い(?)みたいだし!あっくんも良いよね!」
「...どうせ聞かねぇだろ....」
「うん!あっくんの許しも得たということで!」
私の意見は!?聞かないの!!?←←←
「じゃあ行こっか!その前に君の名前教えて!」
「...林 凜華...」
「じゃあハヤちゃん !飛ぶよ!」
「!!!?」
飛ぶってあの飛ぶ!!?てかハヤちゃんって私!!?←
「....おい泉那...絶句してるぞ」
「あぁごめん!僕の能力で触れていたりするものと一緒にハヤちゃんのとこで言う瞬間移動ができるんだぁ〜!」
へぇ、へぇー....ぇえ!!!?
「いやちょっとまt(((泉那に触れろ」....はい...」
藍場さんの威圧が凄く その時私は頷くしかなかった。
大人しく泉那さんに触れると次の瞬間にはアパートの前に立っていた。
to be continue......