後輩くんの悩み。
「昨日の言った言葉、酔った勢いとかじゃないですから」
パッと高野を見ると、さっきの弱気な高野とは一変、真剣な表情で私を見ている高野。
「俺、中野さんのことが好きです。付き合ってください」
その言葉に、ギュと胸が締め付けられて泣きそうになる。
「わ、私なんかでいいの?」
「中野さんがいいんです」
そう言って笑った彼に、ギュと抱きつく。
すると、そんな私を抱きしめ返しながら、
「これで悩みの種もなくなりそう」
と高野は言った。
「悩み?」
「いえ、なんでもありません」
見上げた彼の表情は、年上の私なんかよりもずっと大人びて見えた。
─END─