ほろ苦いキミのkiss【壁ドン企画】
そんな私を見る上司達の目は、まるで“なぜお前のような奴がここにいる”そう訴えているようだ。
それでもここで働けているのは、同期のおかげ。
「菊池さん、大丈夫?」
「いつものことだから…」
「私で良ければ頼ってね?出来る事なら私も手伝えるから」
上司からも仕事が良くできると慕われている同期の西澤さん。
名前は名字呼びで、さん付けではあるもののランチは一緒に、帰りも早く終われば一緒に帰る仲。
人思いで私のことをよく気にかけてくれる西澤さんも“できるヒト”だ。
「ありがとう、西澤さん」
ニコッと微笑みお礼を言うが、私とは違う…そんな気持ちだけが残る。
「いいのよ。そういえば、櫻木さんは?」
確認してもらえばよかったじゃない
そう言いたげだ。
「それが、昨日は出張で出ていて聞けなかったの」
「それは残念だったわね…」
「でも、自力で出来るようにしなきゃね」
毎回私は櫻木さんに頼りっぱなし。
いつまでも頼り続けるわけには行かない。
頼れるのは、あと一ヶ月。