10年越しのコクハク
高校の三年間、まるで腐れ縁の様に一緒にいたわたしたち。

男女の壁なんか飛び越えちゃって、憎まれ口も叩いてた。

そんな関係も居心地が良くて、それなりに自分は和樹の特別な存在なんだと思っていたけど……。

高校生も終わりに近づいた頃、和樹に彼女が出来てあっけなく失恋。

それから最後まで、お互いよそよそしくなっちゃって、大学進学で和樹が地元を離れたのを機に、音信不通になってしまったのだ。

それなのに、こんな場所で再会するなんて……。

緊張を隠す様に資料をパラパラめくっていると、ふと和樹の指に目が向いた。

あの頃は何も感じていなかったけど、指が長い。

ペンを持つ指が妙に色っぽくて、しばらく眺めてしまっていた。

すると、ふと和樹が口を開いたのだった。

「美希、彼氏いるのか?」

「えっ!?彼氏?」

いきなり、何を言うのかと思ったら、そういうドキッとする発言はやめて欲しい。

動揺を隠しながら、

「いないけど……。和樹は?そっちこそ、どうなのよ」

と、10年振りなのに可愛くなれないわたしを、和樹は真っ直ぐに見つめたのだった。

「いないよ、オレも」
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