て・そ・ら


 うーん・・・・それってかなり暇だろーなー・・・・。正月。テレビも面白くないし。横内も見れないし・・・。ちぇ。

 だからあまり気分が明るくなかったのだ。

 あたしの気持ちや気分などにはお構いなしで、今日も空は青々として大きく広がり、駅前の大木たちも風に気持ち良さそうに揺れている。

 あたしはマフラーを巻きなおしてしばらくそれを下から眺めた。

 髪は短くなったけど、相変わらずあたしは友達も少ない地味な女子高生だ。

 ぐっとクラスに溶け込んでるわけじゃないし、学校が楽しくって仕方ないなんてこともない。横内が隣じゃないから成績だって低空飛行で、大して目標もない学生なのだ。

 だけど!無駄に力んで、前方を睨みつけてみた。

 だけど、人を好きになったよ。

 あたしが男の子を好きになったよー!

「・・・ま、上々だよねー」

 優実が言うようには行動に出れないけど、それも仕方ない。だって性格ってものがある。あたしは自分で思っていたよりも小心者だったってことも判ったし。

 気分を取り直して学校へ向かった。

 あと二日で試験が始まってしまう。

 だから、屋上で夕焼けがみれるのも、あと二日だけ――――――――――――――



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