Third Time Lucky
「協力ってそっちを お願いしたんじゃないんだけどね。」

「あれ?そうでした?」

「決まってんでしょ。ほら、もうどいて。」

仕事が出来ない、そう続けながら葛西くんの胸の辺りを軽く押すと葛西くんは素直に引き下がっていく。

学生気分が残っているとは言わないが、まだまだ若いんだろうなと胸の内でため息を吐いた。

それか2個しか違わない私のことを店長としては軽んじているのかもしれない。そこを突かれるのは正直痛かった。

面談相手だってバイトを含め殆どが自分よりも実務年歴が多い人たちばかりだ、仕事が出来ている自信は無い。

「葛西くんのセンスを信じてお願いするの。クリスマス用のディスプレー、ユウコさんと一緒に進めておいてくれる?」

「はい、分かりました。」

上から物を言うことが気が引ける私にはお願いすることしか方法が分からない。

おかげで何とか嫌われずにはいるけれど早くポジションに実力が伴いたいとずっと思っている。

だから本当に壁ドンとかどうでもいいのよね。

「で、感想は?」

まだ言うか?

半分睨むように葛西くんを見上げても彼は諦める様子がないことに気付かされるだけだった。

面倒くさいな、若いってたまに面倒くさい。

「なんか。」

「ふんふん。」

「苛々する。」

今度はガッツリ睨みを利かせて葛西くんを見上げた。

< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop