単純な恋。
やっぱり、後悔した。
人混みが苦手な私。


人の多さに疲れてしまい頭痛がしてきた。


「ちょっと、座るか?」


デパートの隅っこのベンチに腰掛ける。


「気分、落ち着いたら帰るか?」


「頭痛薬飲んだから少ししたら効いてくると思う。透の分、買っていこうよ」


「…俺のはいいよ。毎年贈ってるわけでもないし別に買わなくても」


「親不孝だな。息子から貰ったら嬉しいに決まってるじゃん」


「…」


私が言った事にふて腐れた感じで無言になる西原。


「1階にお花屋、あったよね?あそこで配送してもらおうよ」


「…ああ」


立ち上がり荷物を持とうとしたら西原がサッと私の手から取る。


せっかく買い物に来たのだからと欲張って自分の服とか西原のシャツとか買ってた。


西原の左の腕に無言で手を添える。
人混みを利用して恋人を実感する。









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