へきドン【壁ドン企画】
はぁ、と溜め息をついて、妻の手をひくと寝室に入った。

無言でベッドに押し倒すと、相変わらず妻は

「へっへっへっへ…」

とニヤニヤしている。

その顔、まじでムカつくわ。

ひよこ柄のパジャマを脱がし、俺は妻の白い胸に顔をうずめる。

天然で、いちいち突っ込むのが面倒くさい妻。
笑い方が気持ち悪い妻。
ムードや色気の欠片もなく、壁ドンしても、ちっとも俺にドキドキしてない妻。


そんな妻を好きになった物好きは、世界中でおそらく俺くらいだ。



それに、結婚して8年。
こどもが三人もいるのに、こんなに妻が好きで好きで堪らない珍しい男も、世界中で俺くらいだ、と思う。


妻が俺の頬を両手で挟むと、にっこりと笑う。


妻のためだけに、俺は生きている。


柔らかな唇に、そっとキスをしながら、いつものように、そう思った。





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