社内恋愛がバレるとき
忘年会の夜

~未来Side~

12月12日、金曜日。
午後8時過ぎ。
とある居酒屋の宴会席の片隅。
私·小林未来(コバヤシ ミク)はお皿に残っていた冷めた唐揚げをほお張ると、ビールを流し込んだ。

今日は私が勤める会社·A印刷の総務部と営業部の合同忘年会。

宴会場の逆の隅では、営業部の山下一樹(ヤマシタ カズキ)が、私と同じ総務部の女性5人に囲まれていた。

『一樹は私の彼氏なの』

みんなにそう言いたい。
でも言えない。
3ヶ月前、同期入社の一樹と付き合うことになったとき、゛みんなに内緒にしよう゛と言ったのは私だから。
理由は…一樹がモテるから。
背が高くてイケメン。その上、優しくて仕事が出来るとなればモテないわけがない。
私は一目惚れに近い状態で一樹を好きになった。
しかし当時、彼には彼女がいた。
私は同期と言うことを理由に、一樹と友達になり、彼に近づくことが出来た。
彼が彼女と別れたと聞いたのは半年前。
そのときも、友達として聞き役に徹した。
それからすぐ、一樹から告白されるなんて思いもせずに…



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