社内恋愛がバレるとき

「おぅ小林、いい飲みっぷりだな。
ビールでいいか？ほら、どんどん飲んで」
一樹たちを眺めながら1人で飲んでいた私に、ビール瓶を持って声をかけてきたのは、総務部の保坂颯太（ﾎｻｶ ｿｳﾀ）課長、30歳。
言われるままグラスを出して、ビールでいっぱいにしてもらう。
もちろん課長にお酌を返すのも忘れない。

「相変わらず山下のモテぶりはスゴイな」
課長も一樹に群がる自分の部下たちを見ていた。
「そうですね」
私は相槌を打つことしか出来ない。
「…小林はいいのか？山下のそばに行かなくて」
課長に聞かれ、
「私…ですか？
私はいいです。同期の集まりで、山下くんと飲む機会ありますし…」
そう答えたけど、本当は嘘。すぐにでも、一樹のそばに行きたい…

「そっか。小林は山下と同期だったんだな。」
他には誰がいるんだ、お前たちの同期は？」

それから社内で誰が同期だと話しになり、そばにいた営業の澤村さんと長谷部くんも話しに加わってきた。
ちなみに、澤村さんは私の2年先輩·長谷部くんは1年後輩になる。