社内恋愛がバレるとき
「あ～。俺は総務の菊地裕実（ｷｸﾁ ﾕﾐ）と同期ですよ。俺たちも、たまに同期で集まりますよ」
そう言ったのは長谷部くん。
そっか、菊地さんの同期なんだ。

「たまに菊地から、小林さんの話しを聞いてました。
すごく丁寧に仕事を教えてもらったって。間違えてもフォローしてくれるし、分からないことも優しく説明してくれて分かりやすいって。
だから俺、小林さんと話をしてみたかったんです。話せて良かったです」
長谷部くんにそんなふうに言われて照れる。

「そっか。菊地さん、そんなふうに言ってくれているんだ。
でも私は、保坂課長に教えてもらった通りに、菊地さんに教えているだけだから」
私は褒め言葉を、そのまま保坂課長に渡した。

「俺の教えが、ちゃんと下まで伝わって嬉しいよ」
課長が言いながら私の髪を撫でてきた。

゛ヤバイ゛と思い、足を崩すフリをしながら課長と距離をとった。
何故かここ半年くらい、課長から猛アタックを受けている。
なんとか交わしているけど…
そう思いながら、また一樹の方を見た。


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