time machine
「ありがとー♪」
そう言ってアイスを口に運ぶ。
あたしの大好きな、チョコミント。
「こんな寒いのによく食えるよな」
「あんたも食べてんじゃんか」
「そうだけど」
村上が店内は嫌だとか訳分かんないこと言ったから、公園で食べてるあたし達。
風が無いからそこまで寒くはない。
ひらひらと舞い降りる雪。
「もうすぐバレンタインだな」
村上が唐突にそんな事を言ったから、
あたしの心臓が跳ね起きた。
「そう…だね、うん」
「ヤバイ、俺の出番がきたわ」
「は?」
「貰うチョコ、段ボール一箱に入りきるかな」
「バカ。全く…」
…去年も一昨年も。
綺麗な顔立ちをしてる村上は、すごい量のチョコを貰っていた。
勉強できて、面白くて、運動神経抜群で。
女子からモテる要素は、いくつも持ってる。
そんな村上だけど本命チョコは全部断ってた。
貰っていたのは友チョコだけ。
もちろんあたしは、恥ずかしくて友チョコしかあげたことなくて。
…今年は、誰かの本命チョコを受け取るのかな。
そう思うと、何だか急に寂しくなってくる。