俺は俺だから



俺でも何言ってんのかわかんなくなってきたけど(笑)
したら那智が急に笑い出した。

なんでそこで笑う?!
狂った?!

びっくりしたのも束の間。
今度は一瞬で泣きそーな顔じゃありませんか!


「一悟はいいなぁ‥‥、強くて‥‥」
那智には想像もつかないくらい、弱々しい声。

………ほんとに那智?

俺の隣で、すっごい小さくなってる。
すると、那智は静かに話し始めた。


「あたしさ…… 今まで全部一人で背負い込んでて…
そんで… 相談しよーとしたら……っ」

耐え切れなくなったのか、那智の頬には涙が。
次から次へとこぼれ落ちる。
俺は、見ていられなくて。
気がついたら抱きしめていた。
すると、なんかの糸が切れたように……
那智は大泣き。




「……いーよ、全部話してみ?」
那智がだんだん落ち着いてきたから、ゆっくりでも、全部聞こうと思った。
なのに、那智の野郎。
今頃抱きしめられてたことに気づいたのか、俺を突き飛ばした。
「ってー」
「あ…! あぁ、ごめん」

それから安心したように、
那智は話を続けた。

「……1回、すっげえ悩んだことがあって。まあ、ほんとくだらない事なんだけどさ。
で、抱えきれなくなって友達に相談しよーとしたんだ。
その友達ってのが、あたしが『親友だーっ』って思ってた奴で。
そいつも、あたしのこと『一番の親友』とか言ってたもんだから。
どの友達よりも信頼してた。
したら、そいつ真面目にきーてくれなくてさ。
真面目に答えてっつーと、すっげめんどくさそーな顔して無視しだして。
めちゃくちゃショックだった。
唯一の『親友』がそんなだったから、あたしもう何も信じれなくなっちゃって。
親友なんてそんなもんだったんだー、て。




………だから一悟、ちょっと羨ましい。」


最後は笑ってるけど、悲しい目。




「……お前、偉いな。」

俺の口から素直に出た言葉。



 
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