女子力高めなはずなのに
和美から「旦那OK」の連絡が来て、とうとう迎えた誕生日。

あれから毎日ほとんど眠れなかった。

彼の電話番号もメアドも消しちゃったし、写真も全部捨てた。

もう、きれいさっぱり忘れてやるっ!

でも、そんなことをすればするほど、惨めになるような気がした。


寝不足の目をパシパシさせながら伝票入力していたら、いつものように愛ちゃんが猫なで声で話しかけてきた。

「さくらせんぱーい!これ、どーしたらいーですかぁ?」

私はアンタの教育係じゃないんだけどなー。

「理恵に聞きなよ、教育係なんだから」

「えー、だってぇ、理恵先輩、すぐ怒るんですよぉ」

そりゃ、そうだろう。

愛ちゃんは新入社員みたいな雰囲気を醸し出しているが、入社して丸2年。

独り立ちしてもらわないと困るんだけどな。

「何が聞きたいの?」

「この振伝の処理なんですけどー、システムでエラーが出ちゃうんですぅ」


どれどれ……。
< 10 / 325 >

この作品をシェア

pagetop