女子力高めなはずなのに
薄青い光で目が覚めたら、外はわずかに明るくなっていた。

……温かい。

大きな体に包まれてる。

頭上から聞こえる呼吸音。

そうだ。

昨夜はお父さんが来て、それから井川さんが来てくれて……。

私、抱き締められたまま寝ちゃった?

井川さん……、私が床に着かないように座り込んで抱き締めてくれてたんだ……。

そのまま寝ちゃったのかな?

私が見上げたら、井川さんはハッと目を開いた。

何度もまばたきをしている。

「……俺、寝てた?」

「うん」

「今起きたの?」

「うん、たった今」

「そっか」

井川さん、目を覚ましたら離れてしまうのかなと思ったけど、まだ抱き締めたまま。

……離れたくない。

もう少し、このままでいてくれないかな。
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