女子力高めなはずなのに
それは経理課の中野さくら。

中野さくらは疑問があると、内線電話で聞けばいいものを、わざわざ降りてきて話を聞きたがる。直接顔を合わせて話をしたいタイプなんだろう。

上から降りてきて野村さんと話す彼女をいつも目で追っていた。彼女の姿を見られるから、降りて来てくれるのは、俺としては嬉しい。

初めて会ってから10年近くたつが、変わらず明るくて一生懸命な中野さくら。

実はこの会社に入社して一番最初に入ったのがこの営業所だった。その時既に中野さくらはこの営業所の経理課にいた。

彼女の方が俺より1年先輩にあたる。彼女は高卒で入社しているから、大卒で入った俺より入社が早かった。

当時から綺麗だった中野さくら。

彼女は美人だと喫煙室での話題によく上がっていたが、俺は彼女の見た目より、その純粋な明るさに秘かに惹かれていた。

彼女の無欲な明るさは清々しく、とても眩しかった。
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