女子力高めなはずなのに
「じゃあ、半分ね」

「えー!半分ですかぁ」

「だって、愛ちゃんのお仕事だよ?手伝ってもらえるだけありがたいと思いな」

愛ちゃんはブーッと顔を膨らませた。


そうだったな。

この子はそういう子だった。

なんとか楽をしようと、楽をすることへの努力に力を惜しまない。

私はそういうことができない。

バカ正直なんだと思う。

でも、ズルをして楽をしても、それを良かったとは思えない。

むしろ後ろめたくなってストレスになる。

「ほら、貸して」

私はそう言って手を出した。

「ありがとうございまーす」

愛ちゃん、ニヤリ。

たぶん半分と言いつつ全部よこすんだろうな。

こんなちょこっとサボるくらいで、何が嬉しいんだろう。

サボることを考えるくらいなら、さっさと終わらせちゃった方が早いのに。


別にいいよ。

伝票の20枚や30枚、全然たいしたことないもん。
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