女子力高めなはずなのに
お兄ちゃんは「どっこいしょ」と言いながら立ち上がった。

「俺タバコ買ってくるわ。健太も来るかー?」

「行く行くーっ!」

「ちょっとお兄ちゃん!外に行くなら歯の海苔とってから出かけてよー!」

「パパ、歯に海苔付いてるよ」

お兄ちゃんに抱き上げられ、真面目な顔で指摘する健太。

あれ?歯に海苔なんて、子どもならバカ受けするんじゃないの?

5歳児の笑いのツボはよく分からない。

お!さすがだなー健太!とか言いながら、お兄ちゃんは健太を連れ立って外に出て行った。

二人が楽しそうに出かけたのを見届けると、美鈴さんは私の正面に座った。

「さくらちゃんの好きな人って、本当に妻子ある人なの?」

やだ、美鈴さん……、まだその話、続いてるんですか?

「ちっ、違いますよ!そんなんじゃないです……」

「じゃあ、普通に片想いなの?」

「……」

「でも、家まで助けに来てくれたんでしょ?」

「……はい」

「それって本当に片想いなの?」

「まあ、そう、なんです……」

うーん、と美鈴さんは首を傾げた。
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