女子力高めなはずなのに
美鈴さんには日頃からご指導いただいているのに、期待に応えらえず申し訳ない……。

「美鈴さんにいろいろと教えてもらって、出来るだけ綺麗にしてるつもりなんですけど……。好きになってもらうって難しいですね」

すると美鈴さんは驚いた顔をした。

「あら、そんな!違うわよ。そういうことじゃないの。さくらちゃんが浩さん以外の人に頼るなんて珍しいからね、どんな人なのかなーと思って」

確かに、今までお兄ちゃん以外の人に頼ったことはなかった。

特にお父さんのことなんて、絶対に誰にも知られたくなくて、ひたすら秘密にしていて。

和美ですら、お父さんのことは知らない。

今まで付き合ってた人にも言ったことなかったのに……。

どうして、井川さんには言ってしまったんだろう。

どうして、頼ってしまったんだろう。

「さくらちゃんがそういう人を見つけられたのは、すごく大事なことだと思うの」

「でも……」

そうは言っても片想いですから。
< 156 / 325 >

この作品をシェア

pagetop