女子力高めなはずなのに
そういえばお兄ちゃんと井川さん、もうずいぶん時間たつけど、戻ってこないな……。

何を話すとこんなに長くなるの?

それともまさかお兄ちゃん、井川さんのことボコボコにしたりしてないよね?

お兄ちゃん、大昔はずいぶん喧嘩してたみたいだし。

色白やせ眼鏡の井川さんがお兄ちゃんにかなうわけがないし。

……心配。

何かあったらどうしよう……。

様子、見に行こうかな。

フッと顔を上げると警察官と目が合った。

「あんまり長居してもらっても困るんですよね」

警察官はそう言ってすぐに書類に目を落とした。

「スミマセン」

小さく頭を下げた。

確かにもう小一時間はここにいる。

そんなに長居するつもりなかったのに、迷惑だよね?

お父さんはイビキをかいてずっと寝ているし。

……ボロボロのお父さん。

そういえば、こうやってお父さんのことをじっくりと見たこと、なかったかも。

意外と小さい。

いつもすごく大きく見えていたんだけど。

それは私が子どもだったから?

私を殴ろうとして井川さんに止められた時もすごく小さく見えた。
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