女子力高めなはずなのに
そういえば井川さん、お前も少しは反抗しろよって言ってた。

イヤだってハッキリ言ってやれって。

そんなの、考えたこともなかった。

お父さんに反抗するなんて……。

でも、もういいんだよね?

お父さんに反抗しても。
嫌なことされたら嫌だと言っても。

昔はそんなことをしたら生きていけないと思ってた。

お父さんの気分を害して捨てられたら、生きていけないって……。

お父さんと一緒に住んでいたのなんてもう20年も昔のことなのに、私はいつまでこの感覚に束縛されているんだろう。

今は違うんだから!

私は自分の力で生きているんだから。

もう、お父さんに怯えることないのに。

……そう簡単には解放されないって分かってるけど。

最近気がついたけど、私の心のどこかに、子どものままの私が残ってる。

私の中の子どもが反射的にお父さんに怯える。

そうは言っても、もういい加減私だって大人なんだから。

大人っていうかもうすぐ30だよ?

しっかりしないといけないな、私。

はあっ……。

私がため息をついた時、扉が開いてお兄ちゃんと井川さんが戻って来た。

あっ!

戻ってきた!
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