女子力高めなはずなのに
嬉しくなってぴょんっと立ち上がった。

あれ?

……井川さん、頬を押さえてる?

まさかっ!
お兄ちゃん!井川さんのこと殴ったの?

どうしてそんなことっ!

パッと井川さんに走り寄った。

「大丈夫っ?」

私が真剣に心配をしているというのに、井川さんはなぜかニヤッと笑った。

「……うっそー!」

井川さんはパッと手を離した。

「えっ?」

よく分からなくて何度もまばたきをした。

「ほらな?言った通りだろ?賭けは俺の勝ち」

え?
お兄ちゃんまで、何言ってんの?

「え?なになに?」

「大丈夫だよ、殴られてないから」

「エエーッ!」

二人して私のこと騙したの?

ひどいっ!

「でも俺、賭けに勝っても勝負に負けた気がする」

「そんなそんな、お兄さん」

「お前にお兄さん、言われたくない」

お兄ちゃんに睨まれて井川さんは笑って肩をすくめた。

なによ。

なんか二人、思いのほか仲良いじゃない!
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