女子力高めなはずなのに
店を出てコートを着たら、ぽたりと涙が落ちてきたから、急いで拭って、とにかく大股でガツガツと歩いた。

でも、赤信号で立ち止まったら、ちょっと冷静な自分が戻ってきて、ふと気がついた。


もしかして私、誕生日一人で過ごすの?

そんな、心の準備ができてない……。

どうしよう、どうしよう。

あっ!そうだっ!

和美だ!


すぐ和美に連絡した。

「来週の私の誕生日、一緒にいて!旦那に頼んで、子ども見てもらってよー」

返事はすぐに返って来た。

「旦那に聞いて、良ければいいよー」

和美のことだから、きっと詳しく聞かなくても状況は理解したはず。

和美の旦那は優しいから、飲みに行くって言うと子どもを見ていてくれる。

いいなー、優しい旦那様……。

「はあー」

さっきの彼の様子を思い出したら、肺の底から押し出すようなため息が出てきた。
< 5 / 325 >

この作品をシェア

pagetop