女子力高めなはずなのに
井川さんは手際よく何かをジュージュー焼いたりして、あっという間に朝食が出てきた。

スクランブルエッグとソーセージとトースト。美味しそう……。
でもなぜか素直になれない。

「なんか普通だし、野菜がなーい」

「なんだよ、文句言うなよ」

「……いただきます」

あ、本当に美味しい。

このスクランブルエッグ、ふわふわだしバターの風味も効いててすごく美味しいな。

でも、目をパチクリさせたら向こうでニヤッと笑ったのを感じたから、パッと表情を戻した。

「うまいだろ」

井川さんは私が食べる様子を見ながら、少し身を乗り出してきた。

「まあまあ」

「そこはお世辞でも褒めるところだろ」

そう言われても、なんか素直になれないんだよな。

「そこそこ美味しい」

「チッ、まあいいけどさ」

井川さんはふてくされたように顔をそむけた。
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