女子力高めなはずなのに
「あっ!いたいたー」

倉庫に響くでかい声。

ムムッ!!

……まただよー。


その声は、間違いなく井川さん。


どうしていいタイミングで入って来んのよ!

……もしや、わざと邪魔してる?

「中野さん、伝票処理のことで聞きたいことがあるんですけど、少しお時間いいですか?」

お?ヨレヨレねずみ色!

敬語の色白やせ眼鏡に戻ってる。

なんか、安心感あるなー。

会社では本気とやらを出していないわけね。


「じゃあまたね、中野さん」

ああっ!

槇村さんが行ってしまうー……。

行ってしまった……。


もうっ!

なんなのよ!

そう思って井川さんを睨んだ。


……あれ?

なんかちょっと怒った顔してる?

「あ、あの、聞きたいことって何?」

私、伝票処理ミスしたのかな?

そんな心当たりは全くないんだけど。
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