女子力高めなはずなのに
井川さんは怒った顔のままスッと近づいて手を伸ばすと、私の頬にわずかに触れた。

「……この傷、どうした?」

あまりの驚きに、息を飲んで目を大きく開いた。

分からないようにしてたのに。

誰も気がつかなかったのに。


「誰にやられた?」

「そ、それは……」

「男にやられたのか?」

「ち、違っ」

「行きずりの男にやられたんじゃないのか?」

「なっ!なんでそうなるのよ!」

コイツ、私をどういう女だと思ってんの!

「お前、酔うと分かんなくなるだろ?持ち帰られたんじゃないのか?」

そんなことしたのアンタだけだよ!失礼な!

「そんなことないよ!男の家で目が覚めたのなんて、あれが初めてだったんだから!すっごいショックだったんだから!初めてのあんな状況が色白やせ眼鏡だったなんて!」

「本当か?……他にはないのか?」

なんなの?
何でそんなこと聞いてくんのよ!
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