女子力高めなはずなのに
「この間、1回だけ記憶がないっていうのはあったけど……、ちゃんと家に帰ってたもん」

「ふーん……」

「そうだよ!人を軽い女みたいな言い方して、ホントに心外!」

「じゃあ、誰にやられたんだよ」

言いたくないな……。

でも、じっと見つめてくる。

行きずりの男に叩かれたなんて思われるよりはマシだろうか。

「……ぉ父さんに……」

「は?」

「……なんでもない」

やっぱり言うべきじゃなかった。

普通、そんなのありえないもんね。

失敗した。

「なんで親父に殴られたんだよ?」

「殴られたわけじゃ……ぶつかっただけ……」

「俺はなんでって理由を聞いてんの」

「なんでって……」

なんて言っていいのか、わからない。

「怒られるようなことでもしたのか?」

「そんなこと、してないけど……」

「じゃあなんでだよ?」

井川さんはまっすぐ私を見ている。
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