女子力高めなはずなのに
「槇村さん!」

連絡先を交換して、二人でスマホをいじっていたら、急に後ろから声をかけられた。

「発注のことで教えてほしいんだけど」

振り返るとそこにはノムさんが立っていた。

あ。

今日のノムさんは刺々しいバージョンだ。

「じゃあまたね、中野さん」

槇村さんにニコッとされたから、私もぺこっと頭を下げてその場を離れようとした時、チラッとノムさんが睨んだような気がした。


あれれ?

どうした?ノムさん。

もしかして、槇村さんとのことで睨んだの?

もしかして、これって邪魔しに入ったの?

階段を上がりながら、ぼーっとして血の巡りが悪くなってる頭をがんばって動かした。

そういえば、坂田さんの送別会の時もノムさん、槇村さんの隣に入って来たんだっけ。

そっか……。

ノムさん、槇村さん狙いなんだ。
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