キャッチ・ミー ~私のハートをつかまえて~
「また起こったわよぅ」
「今度も東京だったわね」
「ってことは、犯人は東京に住んでるんじゃない?」
関東地方で発生している、連続幼児誘拐殺人事件は、今年初めに報道されたからか、それ以上に残忍な事件が、まだ起こっていないからか、とにかく、2月になっても世間を賑せているのは間違いない。
職場でも、新たにまた、ひとりの子どもが犠牲になった事件でもちきりだ。
ただ、今までの犠牲者が男の子だったのに対して、今回は3歳の女の子だから、同一犯の仕業かどうかは疑問視されているようだ。
つまり、連続幼児誘拐殺人事件の犯人と見せかけた、別人による犯行とも言われているらしい。
どっちにしても、子どもを殺すなんて・・・酷い。酷過ぎる。
バスから降りた私は、何となくいつもより沈んだ気分で、トボトボとマンションへ歩いて帰った。
まさかその数時間後に、自分がその事件の参考人として、警視庁へ連れて行かれるなんて、夢にも思わずに。
「これ・・・何かの間違いでしょう?わたし、何もしてませんっ!」
「ですから参考人として来ていただいただけです」
取調室のような部屋に連れて行かれた私は、思わず立ち上がると必死に訴えた。
どうしよう。なんで私が・・・やだ。
こんなときに・・ううん、違う。
こんな時だから、パニック起こして・・・息が・・・・・・。
そのときドアが開いたと思ったら、「聖、息吸って」という和人さんの声が聞こえた。
・・・・・・え?
なんで和人さんが、ここにいる・・・の?
「ふっ、うぅっ、はっ、はあ・・・」
「もう少しゆっくり・・・そうだ。今度は息を吐いて」
「和人さん」と言いたかったけど、結局私は口をパクパクさせただけだった。
声が出なかったんじゃない。
この人の名前を、ここで言ってはいけないと思ったから。
「よし。もう大丈夫だ。聖、落ち着け。おまえがやったとは誰も思ってない・・・離せ!」と和人さんは言うと、私をここに連れて来て「尋問」している敷島さんという人の手を、乱暴にふり払った。
「俺に気安く触んじゃねえ!」
「野田。今のおまえは捜査に関わってない。部外者はここに入って来るな」と敷島さんは言いながら、和人さんを部屋の外へ連れて行った。
・・・・あぁ、そういうことか。
別にこの人の「本職」が何なのか、特に気に留めなかったのは、怪しい職業に就いてるんじゃないって信じてたからだけど・・・そっか。
自分が刑事だって、私には言えなかったんだよね。
だって野田さん・・・私のこと、疑ってたから。
「俺の彼女に手荒な真似したら」という野田さんの声が聞こえたのを最後に、ドアがバタンと閉められた。
「今度も東京だったわね」
「ってことは、犯人は東京に住んでるんじゃない?」
関東地方で発生している、連続幼児誘拐殺人事件は、今年初めに報道されたからか、それ以上に残忍な事件が、まだ起こっていないからか、とにかく、2月になっても世間を賑せているのは間違いない。
職場でも、新たにまた、ひとりの子どもが犠牲になった事件でもちきりだ。
ただ、今までの犠牲者が男の子だったのに対して、今回は3歳の女の子だから、同一犯の仕業かどうかは疑問視されているようだ。
つまり、連続幼児誘拐殺人事件の犯人と見せかけた、別人による犯行とも言われているらしい。
どっちにしても、子どもを殺すなんて・・・酷い。酷過ぎる。
バスから降りた私は、何となくいつもより沈んだ気分で、トボトボとマンションへ歩いて帰った。
まさかその数時間後に、自分がその事件の参考人として、警視庁へ連れて行かれるなんて、夢にも思わずに。
「これ・・・何かの間違いでしょう?わたし、何もしてませんっ!」
「ですから参考人として来ていただいただけです」
取調室のような部屋に連れて行かれた私は、思わず立ち上がると必死に訴えた。
どうしよう。なんで私が・・・やだ。
こんなときに・・ううん、違う。
こんな時だから、パニック起こして・・・息が・・・・・・。
そのときドアが開いたと思ったら、「聖、息吸って」という和人さんの声が聞こえた。
・・・・・・え?
なんで和人さんが、ここにいる・・・の?
「ふっ、うぅっ、はっ、はあ・・・」
「もう少しゆっくり・・・そうだ。今度は息を吐いて」
「和人さん」と言いたかったけど、結局私は口をパクパクさせただけだった。
声が出なかったんじゃない。
この人の名前を、ここで言ってはいけないと思ったから。
「よし。もう大丈夫だ。聖、落ち着け。おまえがやったとは誰も思ってない・・・離せ!」と和人さんは言うと、私をここに連れて来て「尋問」している敷島さんという人の手を、乱暴にふり払った。
「俺に気安く触んじゃねえ!」
「野田。今のおまえは捜査に関わってない。部外者はここに入って来るな」と敷島さんは言いながら、和人さんを部屋の外へ連れて行った。
・・・・あぁ、そういうことか。
別にこの人の「本職」が何なのか、特に気に留めなかったのは、怪しい職業に就いてるんじゃないって信じてたからだけど・・・そっか。
自分が刑事だって、私には言えなかったんだよね。
だって野田さん・・・私のこと、疑ってたから。
「俺の彼女に手荒な真似したら」という野田さんの声が聞こえたのを最後に、ドアがバタンと閉められた。