キャッチ・ミー ~私のハートをつかまえて~
「・・・確かにその日、私はデパートへ行きました。そしてそのペンダントと同じものを失くしました。だけど私は、どこでペンダントを落としたのかどうか、分かりません。大体、そのペンダントは私のだという証拠でもあるんですか?」
・・・同じことを繰り返して言ってるのは、これで何度目だろう。
いい加減うんざりした私がため息をついたとき、部屋のドアが開いた。
野田さんかも、と思った私は、反射的に体を強張らせたけど、立っていたのは、私と同年代か、少し年上の、とてもキレイな女の人だった。
敷島さんはすぐに立ち上がると、ドアの方へと歩いて行った。
二人はコソコソと話しているから、話の内容は私にまで聞こえない。
だけど敷島さんは驚いた顔をすると、「分かりました!」と言って、すぐに駆けて行ってしまった。
そして、行ってしまった敷島さんの代わりなのか、その女の人が部屋に入ってきた。
敷島さんはこの人に、敬語を使ってた。
ということは、上役である可能性が高い。
少なくとも、敷島さんより上の役職だということは、間違いない。
そんな人がなんでここに・・・?
まさか私、誤認逮捕される・・・。
またパニックを起こしそうになった私を落ち着かせるためなのか、その人は私の手をしっかり握ると、「大丈夫」と力強く言った。
「ごめんなさいね。あなたの無実を証明するのに、時間がかかってしまって」
「・・・・は、い?」
「犯人の居場所が分かったの。今捜査チームが追いかけてるところ。野田も行ってる」
「あ・・・じゃ、わた・・・」
「あなたは無実よ。最初から無実。ところで私、鬼塚(きづか)夏乃です。野田の上司よ」と鬼塚さんは言うと、握っている私の手を、トントンと優しく叩いた。
「どアホな敷島の上司じゃないから。そこ、間違わないでね」
「は・・・はは」
誰にも聞かれないためにという配慮なのか、鬼塚さんは私に顔を寄せると、小声でそう言った。
この部屋には、鬼塚さんと私しかいないんだけど・・・たぶん鏡の向こうに、刑事さんがいるんだよね。
・・・って。私、まるでドラマを演じているような気分だ。
演技の経験はゼロだけど。
と思ったら、ますます笑いが込み上げてきた。
あぁ。今の私、現実離れをした現実に対してショックを受けて・・・頭が完全におかしくなったみたい。
「それも心の防御反応よ。もう大丈夫だから」と優しい声で鬼塚さんは言うと、机に突っ伏して泣いている私の頭を、何度も撫でてくれた。
・・・同じことを繰り返して言ってるのは、これで何度目だろう。
いい加減うんざりした私がため息をついたとき、部屋のドアが開いた。
野田さんかも、と思った私は、反射的に体を強張らせたけど、立っていたのは、私と同年代か、少し年上の、とてもキレイな女の人だった。
敷島さんはすぐに立ち上がると、ドアの方へと歩いて行った。
二人はコソコソと話しているから、話の内容は私にまで聞こえない。
だけど敷島さんは驚いた顔をすると、「分かりました!」と言って、すぐに駆けて行ってしまった。
そして、行ってしまった敷島さんの代わりなのか、その女の人が部屋に入ってきた。
敷島さんはこの人に、敬語を使ってた。
ということは、上役である可能性が高い。
少なくとも、敷島さんより上の役職だということは、間違いない。
そんな人がなんでここに・・・?
まさか私、誤認逮捕される・・・。
またパニックを起こしそうになった私を落ち着かせるためなのか、その人は私の手をしっかり握ると、「大丈夫」と力強く言った。
「ごめんなさいね。あなたの無実を証明するのに、時間がかかってしまって」
「・・・・は、い?」
「犯人の居場所が分かったの。今捜査チームが追いかけてるところ。野田も行ってる」
「あ・・・じゃ、わた・・・」
「あなたは無実よ。最初から無実。ところで私、鬼塚(きづか)夏乃です。野田の上司よ」と鬼塚さんは言うと、握っている私の手を、トントンと優しく叩いた。
「どアホな敷島の上司じゃないから。そこ、間違わないでね」
「は・・・はは」
誰にも聞かれないためにという配慮なのか、鬼塚さんは私に顔を寄せると、小声でそう言った。
この部屋には、鬼塚さんと私しかいないんだけど・・・たぶん鏡の向こうに、刑事さんがいるんだよね。
・・・って。私、まるでドラマを演じているような気分だ。
演技の経験はゼロだけど。
と思ったら、ますます笑いが込み上げてきた。
あぁ。今の私、現実離れをした現実に対してショックを受けて・・・頭が完全におかしくなったみたい。
「それも心の防御反応よ。もう大丈夫だから」と優しい声で鬼塚さんは言うと、机に突っ伏して泣いている私の頭を、何度も撫でてくれた。