キャッチ・ミー ~私のハートをつかまえて~
なつきちゃんより2つ年上のエリちゃんは、「子どもが小さいから」、自宅でお菓子教室を不定期に開いているそうだ。
「・・・私の場合、新たに買ったのは業務用オーブンですね。クッキーを一度で全部焼くには、やっぱり大きめのオーブンが必要なんですよね」
「なるほど」
いつもある定番のケーキは2・3種類、プラス、季節の行事にちなんだお菓子を、期間限定で作るのはどうかしら。
それから、飲み物にクッキーを一枚添えたり。
クッキーは販売してもいいんじゃない?
あぁ、私の夢はどんどん広がっていく。
それから、先日行ったバリ島でのあれこれや、「ビューティーライフ」について話すなつきちゃんに共感したり、エリちゃんから育児のことを聞いても、自分を憐れんだり、エリちゃんを妬んだりせず、ただ「そう」と相槌を打ってる私がいた。
出来上がったフォンダンショコラを、エリちゃんが箱に詰めてくれている間、私は買ったばかりの服に着替えさせてもらった。
「真吾くん迎えに来てくれるから、聖さんも一緒に乗ってかない?」
「ありがとう。でもいい。ひとりで歩いて帰りたい気分だから」
それは独りぼっちになりたいからじゃない。
ひとりでいる時間を満喫したいから。
孤独と独りぼっちは違うんだよね?野田さん。
みんなでおしゃべりをしながら、手もしっかり動かしてお菓子を作ることは、とても楽しかった。
自宅でお菓子教室を開くというのも一考だなぁ。
でもそこには野田さんがいること。
好きなものに囲まれて、好きな人と・・・野田さんとくつろげるおうちに住んで、心から楽しめることをする。
それが私のしたいこと。私の夢。
自然と笑顔になった私は、足取りを速めながら、マンションへ向かった。
・・・いる。
うちの隣、灯りがついてる。
バレンタインのプレゼントに買った、お揃いのマグカップを割らないよう、そしてフォンダンショコラを潰さないよう注意しながら、私は3階まで階段を駆け上った。
ちょっと切れた息を整えると、鍵を取り出す。
そしてブザーを2回押して、ドキドキしながらドアを開けると・・・目の前には大好きな人が立っていた。
私は半泣き顔でニコッと微笑むと、「好き」と言って和人さんに抱きついた。
キャッチ・ミー ~私のハートをつかまえて~ 完
「・・・私の場合、新たに買ったのは業務用オーブンですね。クッキーを一度で全部焼くには、やっぱり大きめのオーブンが必要なんですよね」
「なるほど」
いつもある定番のケーキは2・3種類、プラス、季節の行事にちなんだお菓子を、期間限定で作るのはどうかしら。
それから、飲み物にクッキーを一枚添えたり。
クッキーは販売してもいいんじゃない?
あぁ、私の夢はどんどん広がっていく。
それから、先日行ったバリ島でのあれこれや、「ビューティーライフ」について話すなつきちゃんに共感したり、エリちゃんから育児のことを聞いても、自分を憐れんだり、エリちゃんを妬んだりせず、ただ「そう」と相槌を打ってる私がいた。
出来上がったフォンダンショコラを、エリちゃんが箱に詰めてくれている間、私は買ったばかりの服に着替えさせてもらった。
「真吾くん迎えに来てくれるから、聖さんも一緒に乗ってかない?」
「ありがとう。でもいい。ひとりで歩いて帰りたい気分だから」
それは独りぼっちになりたいからじゃない。
ひとりでいる時間を満喫したいから。
孤独と独りぼっちは違うんだよね?野田さん。
みんなでおしゃべりをしながら、手もしっかり動かしてお菓子を作ることは、とても楽しかった。
自宅でお菓子教室を開くというのも一考だなぁ。
でもそこには野田さんがいること。
好きなものに囲まれて、好きな人と・・・野田さんとくつろげるおうちに住んで、心から楽しめることをする。
それが私のしたいこと。私の夢。
自然と笑顔になった私は、足取りを速めながら、マンションへ向かった。
・・・いる。
うちの隣、灯りがついてる。
バレンタインのプレゼントに買った、お揃いのマグカップを割らないよう、そしてフォンダンショコラを潰さないよう注意しながら、私は3階まで階段を駆け上った。
ちょっと切れた息を整えると、鍵を取り出す。
そしてブザーを2回押して、ドキドキしながらドアを開けると・・・目の前には大好きな人が立っていた。
私は半泣き顔でニコッと微笑むと、「好き」と言って和人さんに抱きついた。
キャッチ・ミー ~私のハートをつかまえて~ 完