キャッチ・ミー ~私のハートをつかまえて~
聖は俺んちで待っててくれたが、皿をたくさん割っていた。
割れた皿の欠片の数だけ俺は聖を裏切ったんだよな。
やっと聖は俺のことを信頼してくれるようになってきてたのに・・・俺はそれを見事に打ち砕いてしまった。
それこそ割れた皿みたいに。
だが聖はまだ俺のことが好きだ。
たとえ小さな欠片程度でも、聖に俺を思う気持ちがまだあるなら、諦めないで俺は待つ。
ひーちゃん、俺にとっておまえは、それだけ・・・大事な女なんだ。
そんな不器用な俺の思いが届いたのは、去年のバレンタインデーだった。
去年の2月14日、聖がなっちゃんと出かけることは、まだ仲良かったときに聖から聞いてたから、俺も知っていた。
それからあのことがあって、14日に実際出かけるのかどうかまでは俺も分かんなかったが、なっちゃんを迎えに行くついでに聖も乗せて帰ろうかと真吾から電話がかかってきたことで、ホントに出かけてたことが分かった。
あんとき真吾は、俺が仕事でいないかもしれないと思って電話かけてきてくれたんだが・・・俺たちが絶縁状態だったってこと、あいつは知らなかったんだ。
ま、結果的に、電話くれたことはありがたかったが。
それから柄にもなく家ん中を行ったり来たりしてることに気づいた俺は、アームチェアにドカッと座った。
・・・この椅子、ひーちゃん好きなんだよな。
いかんっ!
聖がなっちゃんと出かけたからと言って、俺んちに来るとは限んねえだろ?
・・・だが今日はバレンタインデーだ。
「だから何だっ!あぁくそっ!」と喚いた俺は、ブラインドの隙間から外をチラ見した。
・・・聖のことだ、真吾たちの申し出を断って、ひとりで帰ってくる。
だからまだ帰って来ねえんだよな?
「がーっ!何分析してんだ俺は!」
いい加減この職業病、なんとかしねえと、また聖に愛想尽かされるだろ?
てか・・・俺に「また」はあるのか?
うなだれた俺は、「ひじりぃ・・・」とつぶやくことしかできなかった。
ひーちゃん、来い。
俺んとこに・・・来てくれ。
俺の切実な思いは、聖に届いた。
あの日以来、聖はまた俺のことを「和人さん」と呼んでくれるようになった。
それだけで俺は胸の内がジーンときて、実は涙が出てきそうなほど嬉しかったりするんだよな。
ったく。「野田さん怖い」で通ってる俺のキャラとはかけ離れてるし、俺は涙もろくもねえ。
だが俺は、40過ぎてもまだ不器用に生きている男だ。
そんな俺を、俺が一番好きな女である聖は受け入れてくれた。
「和人さんが、好きだから」。
はにかんだ笑顔でそう言ってくれたとき、俺はもう二度とこいつを離さないと誓った。
割れた皿の欠片の数だけ俺は聖を裏切ったんだよな。
やっと聖は俺のことを信頼してくれるようになってきてたのに・・・俺はそれを見事に打ち砕いてしまった。
それこそ割れた皿みたいに。
だが聖はまだ俺のことが好きだ。
たとえ小さな欠片程度でも、聖に俺を思う気持ちがまだあるなら、諦めないで俺は待つ。
ひーちゃん、俺にとっておまえは、それだけ・・・大事な女なんだ。
そんな不器用な俺の思いが届いたのは、去年のバレンタインデーだった。
去年の2月14日、聖がなっちゃんと出かけることは、まだ仲良かったときに聖から聞いてたから、俺も知っていた。
それからあのことがあって、14日に実際出かけるのかどうかまでは俺も分かんなかったが、なっちゃんを迎えに行くついでに聖も乗せて帰ろうかと真吾から電話がかかってきたことで、ホントに出かけてたことが分かった。
あんとき真吾は、俺が仕事でいないかもしれないと思って電話かけてきてくれたんだが・・・俺たちが絶縁状態だったってこと、あいつは知らなかったんだ。
ま、結果的に、電話くれたことはありがたかったが。
それから柄にもなく家ん中を行ったり来たりしてることに気づいた俺は、アームチェアにドカッと座った。
・・・この椅子、ひーちゃん好きなんだよな。
いかんっ!
聖がなっちゃんと出かけたからと言って、俺んちに来るとは限んねえだろ?
・・・だが今日はバレンタインデーだ。
「だから何だっ!あぁくそっ!」と喚いた俺は、ブラインドの隙間から外をチラ見した。
・・・聖のことだ、真吾たちの申し出を断って、ひとりで帰ってくる。
だからまだ帰って来ねえんだよな?
「がーっ!何分析してんだ俺は!」
いい加減この職業病、なんとかしねえと、また聖に愛想尽かされるだろ?
てか・・・俺に「また」はあるのか?
うなだれた俺は、「ひじりぃ・・・」とつぶやくことしかできなかった。
ひーちゃん、来い。
俺んとこに・・・来てくれ。
俺の切実な思いは、聖に届いた。
あの日以来、聖はまた俺のことを「和人さん」と呼んでくれるようになった。
それだけで俺は胸の内がジーンときて、実は涙が出てきそうなほど嬉しかったりするんだよな。
ったく。「野田さん怖い」で通ってる俺のキャラとはかけ離れてるし、俺は涙もろくもねえ。
だが俺は、40過ぎてもまだ不器用に生きている男だ。
そんな俺を、俺が一番好きな女である聖は受け入れてくれた。
「和人さんが、好きだから」。
はにかんだ笑顔でそう言ってくれたとき、俺はもう二度とこいつを離さないと誓った。