晴れ女

もしかしてご両親?!


力が完全に抜けていた体を即座に起き上がらせると、勢いのまま後ろを振り向く。



「大丈夫ですか……?」




そこに居たのは綺麗な黒髪を風になびかせ、目を丸くしている女の子。


”由紀”だ。





言葉に詰まり、声が出ない。


私達は数秒間見つめ会うと、”由紀”は心配そうに玄関に腰掛けた。



「今、横になってたからもしかすると今日外暑かったから……」



くりっとした大きな瞳で私の顔を覗き込む。


ああ……熱中症の心配をしてくれてんのか。

優しい子だな。
それに比べて私は黒い感情ばかりが浮かんで来るよ。
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