晴れ女
何も喋らない私に”由紀”の表情が困惑の色を見せ始める。

だけど喋れないんだよ。



今私は喉の奥が熱くて。
涙を流さない事で必死になってる。



思わず俯いた私に、”由紀”はきっと朝陽を呼ぶ為に靴を脱ごうとした。



――嫌だ!!上がらないで!


私が言える立場じゃないのは分かってる。

”由紀”は幼なじみで、チャイムを押さなくても、まるでここが我が家の様に踏み込む事が出来る家。


だけど今上がられるのは嫌だった。




……気付いた時には。
”由紀の”手首を掴んでいた。
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