晴れ女
でもこれ以上このままだと、最終的に”由紀”の話をしなければいけなくなりそうで。

「な?今食べたら夜中腹減るじゃん」


まるで子供に言い聞かせているみたいな扱いを受けているけど……



もう”由紀”の話はしたくない。

朝陽の口から、弁当買わなきゃよかった。なんて言われるかもしれない。

そんな言葉は聞きたくない。



素直に首を縦に振ると、朝陽の横に座り、体を預けた。



「重いよ。陽菜ちゃん」

「殴るよ?」


机の上から麦茶を取り、ゆっくりと喉に流し込むと、次第に心臓も落ち着きを取り戻していく。



「朝陽……アイス要らないから……」


そう呟いて朝陽の肩に体重を預け、下から顔を覗き込むと……


フッと笑って顔が近付いて来る。



「かーわい……」


耳元で囁かれると体がゾクリと反応し、大きな手の温もりが肌に触れた。
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