晴れ女






「由紀……?」






え……?


今何て……



火照った体が頭から一気に覚めるのが分かる。


朝陽の視線の先を伝い、目で辿ると、ピンクの浴衣を着た女の子が公衆電話の下に蹲っていた。







「由紀!!」





朝陽が大声を上げると、肩がピクリと揺れて顔が上がる。



いつしか繋いだ手は離れ、隣に居た笑顔の朝陽は”由紀”の元に駆け出し、私に背中を向けていた。




大きな瞳が赤く染まっている”由紀”は明らかに泣いているのが分かり……



朝陽が”由紀”をソッと抱きしめ……





”由紀”も朝陽に応える様に背中に腕を回した。
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