晴れ女
数秒の沈黙の後。


「もしもし?お兄ちゃん?ごめん!駅まで迎えに来てくれない?……うん!ありがとう!分かった!はーい」


私に視線を向ける朝陽に目をむけると、


「お兄ちゃん15分ぐらいで着くみたい!だから送ってあげて?……あ!ほら!バス来たよ!」

「陽菜……」

「ほら!行って行って!また明後日ね?」



朝陽の背中をグイグイ押して無理矢理バス停へと歩かせた。

申し訳無さそうな顔をしていた朝陽だったけど、笑顔を見せる私に、もう一度「ごめん」と口にした後二人バスに乗り込んだ。



――まだだ。

もうちょっと……もうちょっと我慢。

バスの中の朝陽に手を振り、ゆっくりとバスが走り出す。




「……~~~~っく……」



朝陽の姿が見えなくなった時。

――こらえていたものが溢れだした。
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