晴れ女
ああするしかなかった。

”由紀”を大切に扱う姿なんて見たくない。


泣いてるから介抱するのが人として当たり前の行為だったとしても。



何て冷たい女なんだろうと思う。
だけど――どうしても私には無理だった。


溢れる涙を拭うのも忘れ、その場で泣き続けた。



――お兄ちゃんは迎えには来ない。

繋がってる振りをした電話は朝陽に見破られる事はなく、正直ホッとした。


あのまま私が泣いちゃ余計に朝陽が困る。



そうなった時、私より”由紀”を選ぶ朝陽を一番見たくない。
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