晴れ女
「お姉さん?君だよ君!黒い浴衣にピンクの花柄の黒髪のお姉さん!」


更に大きな声を出した男達。

分かってるよ!
ていうか、あえてのシカトって気付きなさいよ!


すると、


――ガチャ……バタン!

嫌な予感しかしない。
背けていた目を向けると、後ろから男が降りてきてこっちにやって来る。


横を向いて前に立っていたカップルらしき男女を見るも、火の粉が振りかかるまいと目を反らされた。


ちょっと!
自分の彼女さえ守れればいいっていうの?


心で悪態を吐きながら睨んでいると、車から降りてきた男が私の目の前に立った。



「遊びにいかない?優しくするからさ?」


優しくって!
バカなんじゃないの?
それで釣られる女の子なんて居るわけないじゃん。


「手出したり絶対しないからさ。てかいくつ?俺じゅーはちー」



聞いてない。
マジで興味ないんだけど。

一切目を合わせず、ずっと無視していればその内諦めるだろう。
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