晴れ女
「お前の車にこの前落書きしてあっただろ」

「あれ油性で消すのに苦労……って!お前かよ」

「俺も手伝った。あ、菊ちゃん、そこのコンビニよって!」

「慎吾てめえ……」


普段いじられキャラなのか助手席の人はずっとからかわれっぱなし。


反応もかなり大袈裟ではあるけど、


「あははははっ!」



馬鹿馬鹿しくて面白かった。



「ちょっとトイレ行ってジュース買ってくるね。二人とも陽菜ちゃんにいたずらしないでね?」


そう言い残し、車を降りた慎吾。


コンビニの中へと吸い込まれていく背中を見送ると、ちょうど車内に流れていた音楽が止まってシンと静まり返る。



――慎吾早く戻って来ないかな。
いくら慎吾の友達と言えども年上だろうし、初対面だし。

でもこの人達のおかげで、暗い気持ちが軽減されたのは事実。
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