晴れ女


しばらくして顔を上げた慎吾の目は赤くて。


「何で慎吾が泣くのよ」

と言ったら

「だから泣いてねえし!!」

と、返され。突っ込むのを止めた。



二人でおにぎりを口に頬張ると、何が面白いのか笑いが込み上げて来ちゃって。


「むふふ」

「ふん」


顔を合わせる度笑顔になれた。



それからずっとたわいもない話をして。


幼稚園の頃から中学生の頃まで。

眠たくなんてなかった。



――眠りたくもなかったんだ。


夢にまで朝陽が出て来そうで。



私の為に涙を流す慎吾にこれ以上迷惑をかけたくなかった。
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