晴れ女
携帯を耳にあて、数回コール音が鳴った後。


『はい』

「し、慎吾!」



朝陽と喧嘩したって……
口にする前に一呼吸おき、いざ話し出そうとした。



『朝陽の事殴っちゃった。佳奈ちゃんから聞いた?』



私が切り出す前に慎吾の口が開く。


『俺の方が女と遊んでんじゃんって後から思ったけどね』


クスクス笑いながら話す慎吾に耳を傾け続けた。
いつも明るくて優しい。
そんな慎吾が殴るなんて……




『陽菜ちゃんが泣いてると思ったら我慢出来なかったんだもん。ごめんね』



言われた言葉に胸が苦しくなった。


何で謝るのよ。
謝るのは私の方なのに。



その時――電話の向こうから車の音が聞こえた。
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