晴れ女

「やっと触れた。陽菜ちゃんの髪」


瞳を覗けば……僅かに潤んでいる様に見えて。



「陽菜ちゃん髪触られるの嫌いでしょ」


慎吾の言葉にハッとした。

そんな所まで気付いてたの……？



「朝陽以外受け付けなかったんでしょ」



悲しみを抱いて言い放つ慎吾の手が僅かに震えてる。



「俺、もう触っていい？」


その言葉に喉が熱くなった。

涙が溢れたのは朝陽を想ってじゃない。

慎吾の気持ちが痛いくらいに伝わってきて。


こんなに想われてる事が幸せなんだと感じた。