晴れ女
すると――

ピタリと止まったオレンジ色の髪をした後ろ姿。



「慎吾!!」



もう一度名前を呼ぶ。




だけど振り向いてくれない。



慎吾……何でよ。
話ぐらい聞いてよ。




私はまた息を大きく吸い込むと、力の限り声を出した。




「慎吾が好き!!大好き!!」





その声に、周りの人がなんだなんだと
更に視線が集まる。


「慎吾がだーい好き!!」



だからこっち向いてよ……っ。



「脱がしてくれるんでしょう?この浴衣!」



約束したじゃんか。
< 344 / 394 >

この作品をシェア

pagetop