晴れ女




「ズルくない?俺置き去りー」



教室に戻ると、慎吾に二人して責められた。

一年の空き教室だと陽菜が言うと、そこは思い付かなかった、と笑ってた。


「慎吾、昼休み話がある」

と。真剣な顔をして陽菜が慎吾に。


その瞬間。
顔が強張り……眉を下げた。


「別れ話は聞かないよ」

「違うから」


即効で突っ込む陽菜。
その言葉に、慎吾の顔が明るくなり、「じらさないで今教えて」と、ふざけていた。


話がある、って言っただけなのに。
別れたくない、と一番に前置きする辺り、言葉や態度は軽く見えても陽菜を好きなんだなって分かる。


チャイムが鳴り、席に着かなきゃいけなくなった私達は自分の席に戻ると、いつも通り授業を受けた。


席替えもして、陽菜と慎吾の席は遠くなり。

「ねぇ、ねぇ、佳奈ちゃん。陽菜ちゃんの話って何」

「……」

「ねぇ、ねぇ。俺何かしたのかな?」

「……」

「あ!もうすぐバレンタインだから、その相談?……な訳ないよね」



うるさい……

運悪く、今度は私の近くになり。
しかも真後ろ。
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