晴れ女
呆れた様に笑った後、朝陽が教室に入って来て慎吾が席を立つ。


「陽菜ちゃん、今度絶対デートしようね。俺が彼女出来ちゃう前に」


にひひ。と笑いながら自席に戻る慎吾。

入れ替わりに朝陽が席に着き、自然と話し出した。


「慎吾なんだって?」

ガタガタと机から教科書を取り出しながら朝陽が口にする。


あ。グレープの匂いがする。
口元を見ると少しの違和感。

飴食べてるなコイツ。



「慎吾に彼女が出来たら悲しむ子が大勢居るって話」


「なんだそれ。でも確かに1人以上ではありそうだよな」

眉を曲げて笑う朝陽が教科書を机に乗せて私を見た。



「朝陽グレープの匂いする」


あわよくば貰える気満々で口元を指差しながら言った。
< 67 / 394 >

この作品をシェア

pagetop