イチゴミルク *




* * * * * * *




人の心臓の音って、落ち着く。



それは藤田くんだからかもしれないけど。




藤田くんは、あたしのうれし泣きがおさまるまで
ずっと抱きしめてくれていた。



そして、泣き止んだ今も。




「なんで昼、起こしてくれなかったの」




なんでって言われても…なあ。




「…寝てたから…」


「目開けたらイチゴミルク置いてあってさ。
人の気配なんてない。
でも置いていったのはリコだってわかってる。ずるい」


「だって!起こせるわけないじゃん…」

「…どれだけ俺がリコに会いたくなったかわかる?」

「…へ?」


「人の陣地に勝手に踏み込んでおいて、
勝手に爪痕残してってさ」




あたしはまだ夢の中にいるのかな。



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