イチゴミルク *



あちゃ…。あれじゃ藤田くん取られちゃうよ…。

一緒にやりたかったんだけどなあ…。



藤田くんのエプロン姿とか、どう考えても想像できない。



だから、ちょっと見てみたいのにー…。




「藤田くん、一緒にやらない?」

「無理」

「えーなんで?サクラ料理超上手いから絶対おいしくなるよ?」

「………」

「絶対どっかと一緒にやらなきゃダメなんだからさ、だったら美味しくなるうちらのグループと一緒に」




ガタッと椅子を引く音がして、
藤田くんはキッとファンの子たちを睨んだ。




「図々しいよ、お前ら。
嫌だって言ってるでしょ」




あたしの知ってる藤田くんの声じゃない…。

低くて、黒くて、怖い男の子みたいな…。




そのままファンの子たちの囲いから抜けて、
あたしの前に来た。




「……藤田く…」



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